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美術の穴 第2話 「がらがらの美術館で思ったこと。わたしたちが抽象絵画を見ることの意味について・・・」

  • 2003.01.20

  • コラム

  • 美術の穴


美術の穴 第2話 「がらがらの美術館で思ったこと。わたしたちが抽象絵画を見ることの意味について・・・」

日曜日の朝はやく、といっても10時半くらいなのだが大好きな絵を見るためにやってきました、岐阜県美術館。お休みの日だというのに美術館はいつものごとく(失敬!)がらがらで監視員も眠る静かな空間に期待が高まります。

本日の企画展は「安藤基金コレクション 現代美術展~20世紀 後半のダイナミズム」。これは、岐阜県美術館が開館20周年を記念して企画したもの。同館が所蔵する安藤基金コレクションの現代美術作品群を展示してま す。今回の展示では常設、企画の2つの部屋をくっつけて所蔵作品の大盤振る舞い!といった感じ。いつもはちょこっとしか出ていない現代美術のコレクション が見られるということなのですね。素晴らしい


さてさて、どんなのが見れるのかな?
榎倉康二(1942-1995) 「すがたB-No.58」(1986)。やはり、こういう作品に目がいってしまいますね。大画面に塗られた色。ただそれだけのいわゆるカラーフィールドペ インティングと呼ばれる絵画がどうしようもなく好きです。マーク・ロスコ、アド・ラインハート、サム・フランシス・・・有名どころをあげればきりがないけ れど誰が描いたのであれ一歩足を踏み入れた展示室にこの手の絵画があると固まってしまう。その前にソファーがあった日には居座ってしまう。目を閉じて絵の 前に座ってるだけでも心地良い。どうしてなんだろう。大画面に無造作に(あるいは完璧に構成されて)塗られた原色をみれば、色はたちまち体を侵食して、そ れだけでどこかへとんでいけそうな気がする。どんな芸術でも何らかの感覚を喚起するけれど、私の場合はこの手の絵画ととても相性がいいみたいです。

他にも、ベン・シャーンの版画集や、壁に画針で直接貼るという ひどく乱暴な展示方法が魅力的なマイク・パーの作品「・・・48の自画像」などなど、「おお!岐阜県美術館、こんなの持ってたんだ!(もっとだして よ・・・)」なんて、つぶやきたくなる展覧会でした!今度はどこに行こうかな?

text&photo: pierre.N