語り舞をはじめて20年以上も経ってしまいましたが、未だに一つのものを形づくっていく難しさを感じています。
無我夢中に走っていた自分から、立ち止まり、考え、動けなくなる自分が顔を出しました。
年を重ねるということ?
見えなかったものが見えるようになったということ?
あまりにも勢いに任せすぎていたからかも…と。
地唄舞の師匠出雲蓉師の演出により、これまでの岡本作品からの変化が生まれました。台本をそぎ落とし行間を生み出すこと、一からの作品づくりのようでした。
光源氏との愛のかたちを、取り交わした和歌から、正絃社野村祐子二代目家元の作曲、蓉師振付の舞により朧月夜の心情をより浮かび上がらせました。
ありとあらゆる事に向き合える時間は大変貴重なものとなりました。
語り舞のみならず、地唄舞もお客様にご覧いただきたくて、どうしたら観てくださる方の心に届くのか、作品に描かれているものを表現できるのか、ただひたすら時を重ねてまいりました。
約220人のお客様にお運びいただき、特に初めてご覧くださった方から多くのご感想をいただきました。
聞きやすい間のとり方やはっきり話す声、凜としていた。
源氏物語、最初から最後まで拝見したいと思いました。
声と抑揚が、舞と合わせて相乗効果で、宮廷の華やかな景色や月あかりの幻想的な夜の光景を想像させてくれた。
それにしても、人間の業というか、いつの時代も悩むことつまずくことは変わらないものだなと、舞台を見ながら考えさせられました。。